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PRESS RELEASE

中外製薬、ソフトバンク、SB Intuitionsの3社が
生成AIの活用で臨床開発業務を革新し、
新薬開発のスピードアップを目指す
共同研究に向けた基本合意を締結

~製薬・ヘルスケア業界における先進的なサービスの創出を目指して~

2025年1月30日

中外製薬株式会社
ソフトバンク株式会社
SB Intuitions株式会社

  • 生成AIの活用による臨床開発業務の効率化・生産性向上に向けて、業界を超えた共創を開始
  • 臨床開発担当者をサポートするAIエージェントを開発し、新薬開発のスピードアップを目指す
  • 将来的には社会実装により、新薬を待ち望む患者さんへいち早くお届けすることを目指す

中外製薬株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 CEO:奥田 修、以下「中外製薬」)とソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮川 潤一、以下「ソフトバンク」)とSB Intuitions株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 CEO 丹波 廣寅、以下「SB Intuitions」)は、生成AI(人工知能)を活用して、新薬開発における臨床開発業務※1の革新を目指す共同研究に向けた基本合意を、2025年1月30日を発効日として締結しました(以下「本取り組み」)。3社は、臨床開発業務の生産性を大幅に高めて、新薬開発のスピードアップを目指します。

現在の新薬開発プロセスでは、一つの医薬品が市場に流通するまでに約9~17年※2もの時間と、失敗も含めると数百億~数千億円※2規模の多大な投資を必要とします。新薬開発プロセスのうち、臨床開発業務は、コスト・期間の両面において最もインパクトが大きく、生成AIの活用による効率化・生産性向上が期待できます。
まずは、臨床開発業務を自律的に実行できるAIエージェントと、その能力を最大限に引き出すことができる製薬産業に特化した大規模言語モデル(LLM)を、共同で開発します。このLLMに基づいた生成AIの活用により、臨床試験にかかる要員・費用の大幅な効率化を目指します。

業務への生成AIの導入は、段階的に実施します。まず、治験で必要となる多数の文書の自動生成や、疾患情報・業界規制・社内手順などの必要情報の収集、探索的なデータ解析※3などの特定のタスクに対して、AIエージェントのプロトタイプを開発します。その後、対象となるタスクを臨床開発業務全体に拡大し、複数のAIエージェントが連携するマルチエージェントシステムへと発展させます。このマルチエージェントシステムと人が協働することにより、臨床開発におけるさまざまなタスクを効率化することで、一つひとつの臨床試験の実施および新薬承認申請に要する期間の短縮や要員・費用の削減が期待されます。そして、より多くの新薬開発プロジェクトへリソースを配分することが可能となります。

本取り組みにより、新薬開発の加速を通じ患者さんに革新的な治療法を迅速にお届けすることを目指すとともに、日本のヘルスケア産業の国際競争力の強化にも貢献することが期待されます。

AIエージェントのイメージ

臨床開発業務におけるAIエージェント活用による期待効果

各社のコメント:

中外製薬 取締役上席執行役員の飯倉 仁は「革新的な医薬品を患者さんにいち早くお届けするために、臨床開発に要する期間短縮とコスト削減は重要な課題です。国内トップクラスの開発品数を誇る当社は、臨床開発のエキスパートとAIが協業することで、リソース・コストを最適化し、医薬品開発のスピードアップを目指します。デジタルを核とした業務プロセスの再構築と生産性の飛躍的向上により、当社の成長戦略TOP I 2030で掲げる『先進的事業モデルの構築』の実現につなげてまいります」と述べています。

中外製薬 参与 デジタルトランスフォーメーションユニット長の鈴木 貴雄は「生成AIを活用したAIエージェントの実装は、臨床開発業務の短縮・効率化に大きな効果が期待できます。今回の共創により生成AIを効果的に活用する基盤を構築します。並行して業界内外の新たなパートナーを巻き込みつつ、製薬・ヘルスケア業界における革新的なサービスの創出を目指してまいります」と述べています。

ソフトバンク 専務執行役員 法人統括の桜井 勇人は「国内最大級のAI計算基盤によって、臨床開発に特化したLLMが実現し、開発業務がより効率化されることを期待しています。ソフトバンクは次世代社会インフラの構築を進める他、AIによる企業変革を推進する『AX(AIトランスフォーメーション)インテグレーター』として、今後もさまざまな社会課題を解決していきます」と述べています。

SB Intuitions代表取締役社長 兼 CEOの丹波 廣寅は「このたびの中外製薬様とのパートナーシップは、臨床開発の現場を飛躍的に活性化すると同時に、日本のヘルスケア分野全体にとって大きな前進になると感じています。臨床開発業務のAIエージェント開発は、過去の常識に変革をもたらし、社会問題を解決すべく数々の新しいチャレンジへのきっかけになるでしょう。AIは単なるツールではなく、次世代デジタル社会基盤の中核となるエンジンです。われわれ SB Intuitionsは、デジタルサービスで日本の生活を豊かに導くことを目指し、安全で正確なAIサービス開発のために挑戦を続けていきます」と述べています。

3社は本取り組みを契機として、今後も業界の枠を超えたパートナーシップを深化させ、課題解決に取り組んでいきます。将来的には社会実装により、患者さんへ新薬をいち早くお届けすることを目指します。

各社の役割分担:

中外製薬

  • 臨床開発特化LLMの学習用データの提供
  • 臨床開発業務におけるAIエージェントの企画および評価

ソフトバンク

  • AI計算基盤の提供
  • 臨床開発特化LLMおよびAIエージェントの社会実装推進

SB Intuitions

  • 臨床開発特化LLMに関する研究開発
  • 臨床開発AIエージェントに関する研究開発

中外製薬株式会社について

中外製薬(本社:東京)は、抗体エンジニアリング技術をはじめとする独自の創薬技術基盤を強みとする、研究開発型の製薬企業です。ロシュ・グループの重要なメンバーであるとともに、東京証券取引所プライム市場の上場企業として、自主独立経営の下、アンメットメディカルニーズを満たす革新的な医薬品の創製に取り組んでいます。中外製薬に関するさらに詳しい情報はhttps://www.chugai-pharm.co.jp/をご覧下さい。

ソフトバンク株式会社について

ソフトバンク株式会社(プライム市場:9434)は、「情報革命で人々を幸せに」というソフトバンクグループの経営理念の下、ライフスタイルやワークスタイルに変革をもたらす、さまざまな通信サービスやソリューションを提供しています。スマートフォンを中心とした魅力的なサービスや5Gネットワークで通信事業を強化するとともに、AIやIoT、ビッグデータなどの活用や、グローバルに事業を展開するグループのテクノロジー企業群とのコラボレーションにより、革新的な新規事業を創出し、さらなる事業成長を目指しています。詳細は、ウェブサイト(https://www.softbank.jp/corp/)をご覧ください。

SB Intuitions株式会社について

日本語に特化した大規模言語モデルの研究と周辺サービスの開発に力を入れ、国産の大規模言語モデルで日本語性能No.1を目指しています。私たちのモデルは、日本の文化や価値観を真に反映し、日本の商習慣に合わせたサービスを提供することを目指し、私たちの技術とサービスが、幅広いお客様の日常やビジネスに貢献できるよう、日々研究を続けています。

※1 臨床開発業務:新たな医薬品の候補となる薬剤の承認申請に向けた開発戦略や臨床試験計画を立案し、計画や関連法規に基づき、治験が適切に実施・記録・報告されるようにすること、また、被験者の人権・安全・福祉が保護されるようにモニタリングやマネジメントする業務。臨床試験で得られたデータを基に、総括報告書や承認申請資料を作成し、最終的には厚生労働省の審査機関へ製造販売承認を申請します。

※2 出典:厚生労働省「医薬品産業の現状」https://www.mhlw.go.jp/content/10807000/001036959.pdf(アクセス日:2025年1月)

※3 探索的なデータ解析:治験計画で事前に規定された解析とは別に、被験者の安全性シグナルの検出や治験の適切な実施確認などを目的とした追加の解析。

  • SoftBankおよびソフトバンクの名称、ロゴは、日本国およびその他の国におけるソフトバンクグループ株式会社の登録商標または商標です。
  • 上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
  • その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は各社の登録商標または商標です。

本件に関する問い合わせ先:

中外製薬株式会社

  • 報道関係者の皆様
  • 広報IR部メディアリレーションズグループ

    Tel:03-3273-0881

    E-mail:pr@chugai-pharm.co.jp

  • 投資家の皆様
  • 広報IR部インベスターリレーションズグループ

    Tel:03-3273-0554

    E-mail:ir@chugai-pharm.co.jp

ソフトバンク株式会社 広報本部

Tel:03-6889-2301
E-mail:sbpr@g.softbank.co.jp
担当:関(080-3367-3832)

SB Intuitions株式会社 広報

E-mail:contact@sbintuitions.co.jp